『マックス・ヴェーバー研究総括』正誤表 (202322日)

 

この種の正誤表は、著書の公刊後、真っ先に作成して、発表しておくべき文書でした。小生も、前著『東大闘争総括』2019119日、未来社刊)の場合には、2018年の年末には出ていた)見本に目を通し、直ちに正誤表作成に着手し、1月1日付けで、このHPに発表しました。ところが、このたびは、昨20229月の新著脱稿以来、内容上の問題提起が山積して、なんとか応答をまとめるのに追われ、肝心の正誤表作成は先送りせざるをえませんでした。

 ところが、つい先日、旧知友の平沢信康氏が、新著の正誤表を作成してくださり、送ってくださったのです。小生、平沢氏に背中を押される形で、仕事にとりかかり、ここになんとか、「正誤表第一次案」ともいうべき文書をとりまとめました。下記一覧表15項目のうち、7. 9. 11.は、平沢氏が指摘してくださった箇所です。

また、そのさい、平沢氏は、数箇所に出ている「自」は「自」の誤記ではないか、との疑義を呈されました。しかし、ヴェーバーは、ある団体の「秩序Ordnung」が、非団体員によって外部から指令oktroyierenされる場合と、当の団体員自身の議論と合意によって「協定paktieren」される場合とを、理念型的に区別し、後者を「自autonom」と命名しました。他方、当の団体の「首長Herr」が、外部から任命されるのではなく、内部で選び出される場合を、(たとえ首長自身は、中世イタリア諸都市や、ロシア・ノヴゴロドの「ポデスタ制」におけるように、外部から招聘されるとしても)「自autokephal」と呼びました。なお、「首長」とは、(この点は208頁で定義していますが)「命令権力を、他から授与されたり、委託されたりするのではなく、みずから専権として要求し、行使する『支配権者』」のことで、「仲間のなかの第一人者primus inter pares」としての「酋長ないし首領Haeuptling」から、やはり理念型的に区別されます。しかし、こうした区別は、当然、注釈が必要なところで、小生の責任でした。

お蔭さまで、今回ひとまず、正誤表(第一次案)を、下記のとおり、とりまとめました。

しかし今後も、各方面からご指摘があれば、そのつど再検討して、改定-増補していきたいと思います。

1.23頁、本文10:「知識社会学」☞「知識社会学」

2.29頁、本文 後から:「目的」とする行為類型」 ☞ 「目的」とする行為類型」

3.108頁、本文6:最終講義のほうは。☞ 最終講義のほうは

4.130頁、本文4行:スペイン風に罹患 ☞ スペイン風に罹患

5.154頁、本文2:とおり第一章第一節 ☞ とおり第一章第一節

6.1876 後から3 : いるのではく ☞ いるのでは

7.189、注7 後から5 : それにたして  それにたして

8.228頁、本文3行:追求して」止まず 追求して止まず

9.236、本文最終行:順風美俗 ☞ 風美俗

10. 244頁、本文7行:,derausser- oder der ausser- oder

11. 286、本文 後から2 : 猪武者(ジルびと) ルビ猪武者(ナジルびと)

12. 315頁、本文4行: 不可決の 不可

13. 索引ⅵ頁、右、上から11行、項目 無疑問的受容: 51,60,246 51,60,122,127-28,246

14. 索引ⅸ頁、左、最下行、項目 マルクス:41,43,45,149 41n,43n,45n,149n

15. 索引ⅸ頁、右、上から11行、項目 ヨナ:304,305 304,305n

 

今回は、とりあえず以上です。

20232225日、僅かに改定)

折原 浩