献本のご挨拶

 

拝啓

 

新春の候、ご清祥のことと拝察いたします。

 さて、このたび、本書『日独ヴェーバー論争――「経済と社会」(旧稿)全篇の読解による比較歴史社会学の再構築に向けて』を未來社より上梓いたしました。一部、同封にて、献呈申し上げます。ご笑納いただければ幸甚と存じます。

 

年頭にいきなり、このように限られたテーマの専門書、それも論争書をお送りするのは、たいへんご迷惑かと恐縮に存じます。

ただ、「はじめに」と「終章」「あとがき」では、専門的研究の手前にある日頃の思いを述懐いたしました。1935年に生まれ、敗戦後の一時期を過ごした世代の一員として、なぜマックス・ヴェーバー研究に取り組んだのか、どうして1968-69年大学闘争にかかわったのか、双方をどう結びつけ、本書のテーマ――ヴェーバーの母国における主著『経済と社会』の編纂問題――を採り上げたのか、などについて顧みております。同時に、やり残している仕事を後輩に託せるように、これまでの目標と到達点の確認にもつとめました。

そのような意味で、この間、学恩と啓発を受けた先輩・同僚・後輩はもとより、直接間接お励ましいただいた専門外の知友にも、近況報告として、「はじめに」「終章」「あとがき」はご笑覧いただけようかと、献呈する次第です。

 

では、厳寒の砌、くれぐれもご自愛のほど、お祈り申し上げます。

 

敬具

20141月吉日

 

   折原 浩