野崎敏郎様

 

拝復

 村里に金木犀の香りただよう季節となりました。

 さて、このたびは、玉稿「マックス・ヴェーバーとハイデルベルク大学――人事案件・教育活動・同僚たち――(3)」掲載の、佛教大学『社会学論集』第41号抜刷りをご恵送いただき、まことにありがとうございました。

早速、興味深く拝読いたしました。

 1.着任後のヴェーバーの教育活動が、招聘時の哲学部改革と連動していたこと、2.国民経済学第二講座の増設に、マンハイム財界の意向がからんでいて、ヴェーバーが増設そのものは積極的に押し進めながら、マンハイム商工会議所への出講(産学協同)義務は、「学問の自由」に反するとして異を唱えていたこと、3.国民経済学理論の講義が週五回という過重負担で、これがかれの苛立ちをつのらせ、精神神経疾患を深刻にする一契機であったろうこと、など、多々学ばせていただきました。

 とりわけ、次稿に予告されている退職の経緯には、興味津々で、次号が待ち遠しい思いです。

 このテーマにかんするこれまで一連のご論稿は、いずれも、貴台による精細な調査によって初めて明らかにされた事実/経緯ばかりですので、ぜひ、欧文に翻訳されて、欧米の歴史・社会科学界をも裨益されますよう、重ねてお勧めいたします。

 季節の変わり目に、ご自愛のほど、お祈り申し上げます。

 御礼まで。

 

敬具

 

2005年10月9日

 

折原 浩

 

(ご論考の内容一端とその意義を広く紹介いたしたく、内容上も支障はないと思いますので、この書状を小生のHPに掲載させていただきたいと存じます。万一ご異議がありましたら、折り返しメールをいただけますよう、お願い申し上げます。)