年次報告2019 (1231)

 

 今年は、年初に上梓した拙著『東大闘争総括――戦後責任・ヴェーバー研究・現場実践』(118日、未來社)をめぐり、713日に東洋大学スカイ・ホールで開かれた「書評討論会」も含め、その内容にかかわる議論に明け暮れました。本ホーム・ページにも、「『総括』からの展開」と題するシリーズを開設し、思念を凝らしています。その第7稿目の途中からは、焦点がヴェーバー研究関連に移動し、表題も「わたしのヴェーバー研究総括」と改めて、執筆をつづけています。「わたしの」と冠するのには躊躇いがありましたが、「多々あろう総括のうち、そのうちのひとつとして『わたしの』」という限定の意味です。

 

 910日には、東京御茶の水の連合会館で、「東大闘争資料集 DVD (増補改訂版) 完成報告集会」が開かれました。小生も、「東大闘争資料センター」発足当時の事情について、報告しました。なお、このDVDは、(とくに白鳥紀一氏が) 50年の歳月をかけ、克明に編集-校正して仕上げた資料集で、ビラ・パンフレット・裁判記録など、5, 400余点、13, 100余ページを収録しており、目録の項目をクリックするとワン・タッチで当該資料に飛ぶ、というスグレモンです。頒価12, 000円、振込口座・ゆうちょ銀行「6869(ろくはちろくきゅう)を記録する会」(記号番号001403392735)、他の金融機関からは、019 当座 0392735で、入手していただけます。

 

 916日には、「ヴェーバー研究会21」「比較歴史社会学研究会」の例会と「ヴェーバー没後100周年記念シンポジウム」の準備会 とを兼ねた研究討論集会が、東洋大学白山キャンパスで、開かれました。

「ヴェーバー研究会21」では、橋本直人氏から、ヴェーバーの「シュタムラー批判」にたいするシュタムラー側からの反批判が紹介されました。ただ、「補遺」を重視する小生の視点からは、とくに所見を改めるにはおよばないのではないか、と思えました。また、「比較歴史社会学研究会」では、『都市と暴動の民衆史――東京・19051923年――』(2015、有志舎)の著者・藤野裕子氏をお迎えして、活発な議論が交わされました。小生は、近藤和彦氏の『民のモラル――ホーガースと18世紀のイギリス』(2014、筑摩学芸文庫) に描かれた暴動の諸相を思い浮かべて、興味津々、比較のヒントにはなろうかと、いくつか発言もしました。

 

  114日には、名古屋市のルブラ王山で、「名古屋大学社会学研究室開設70周年記念パーティ」が開かれ、小生も「『思想性をそなえた社会学』の伝統を活かそう」と題する祝賀スピーチをいたしました。その内容は、このホーム・ページに収載しています。

 

  1222日には、「ヴェーバー研究会21」「比較歴史社会学研究会」の例会と「ヴェーバー没後100周年記念シンポジウム」の準備会とを兼ねた研究討論集会が、東洋大学白山キャンパスで開かれました。関係者各位が年末で多忙のため、報告者がなかなか決まらないようでしたので、「それなら『余暇のある年金生活者』がピンチヒッターを」と買って出ました。その後、横田理博さん、鈴木宗徳さんと宇都宮京子さんが、それぞれ名乗り出て報告してくださることになり、「ピンチヒッター」は不要になったのですが、「それでも」ということで、「没後100周年記念シンポジウム」準備会の終了後、短時間、「わたしのヴェーバー研究総括」と題し、途中稿の内容をかい摘んでご報告し、責を塞ぎました。

 

そういうわけで、年5回ほど、研究会その他の集会に出席するだけ、あとは「在宅し、頃合いを見計らっては執筆に没頭できる」という「よい身分」です。ところが、八十路も半ばにさしかかり、筆圧の衰えはパソコンを筆記用具代わりに使うことで補えるのですが、体力と気力の衰えはいうことをききません。そのため、今年はむしろ増えている恵贈著書、論文抜き刷りに、感想はおろか、御礼も差し上げられずに過ごしてしまうことが多々ありました。それぞれ心血を注がれたにちがいないご著書やご論考に、なんとか一言でも感想を、と思い立ちはするのですが、その余力がなく、気が重くなるばかりです。ここに謹んでお詫びし、ご海容を乞います。

それでは、どうかよい新年をお迎えください。

 

20191231

折原