恵贈著作 (Kindly sent, gratefully received writings) 2013年
本欄開設の趣旨:
小生は、教養課程の教員を長年勤め(1965~96)、「解放連続シンポジウム『闘争と学問』」(1969~72)や「公開自主講座『人間-社会論』」(1977~94)を開いていた関係もあって、多方面・多領域の知友から、しばしば著作の恵贈を受けます。また、発表した拙作との関連で、未見の方々からも、著作や論考の抜き刷りを送っていただくことがあります。
そのつど、手にとっては、ご恵贈に感謝し、心血を注がれた作品を、しかるべく熟読し、なにがしか感想もお伝えしたいと心がけてはきました。しかし、在職中は多忙にかまけ、退職後も、年来の仕事を細々とつづけるかたわら、歴史の勉強も始め、応答がなかなか思うにまかせません。
そこで、この欄を開設して、少なくとも著作拝受の事実は記録し、(専門や当面の関心事にかかわりが深いばあいには)少々の雑感も書き添えて、とりあえずはお礼に代えたいと思います。そのうえで、いつか、老生の関心が恵贈著作に近づき、精読する機会をえましたら、そのつど感想を付記していきます。(私的に恵贈された著作につき、感想を公表するのはいかがか、とも考えましたが、公刊された著作にかんすることでもあり、とくにお断りがないかぎり、ホームページへの掲載は、さしつかえないのではないかと判断しました。もとより、ご異議があれば、取り下げます。)
その昔、故上原淳道先生(東大教養学部で、東洋史担当の先輩同僚)が、長年、謄写印刷の『読書雑記』を、ほぼ月一通の頻度で、表裏手書きの封筒に入れて郵送してくださっていたことがあります。小生は、碌に応答もせず、いただきっぱなしで、思い出しては恐縮するばかりです。先生の顰みに倣うことはとうていできませんが、ホームページ上のこの形式でしたら、なんとか続けていけるのではないかと思います。しかし、この形式でも、御礼と応答が大幅に遅れることが、多々あることでしょう。その節は、どうかご海容ください。
(2009年7月12日の本欄開設時に記。2010年2月19日、本欄2010年度版に転記、2011年2月13日、少々改訂のうえ本欄2011年度版に再録、2012年1月11日、そのまま本欄2012年度版に再録、2013年1月29日、そのまま本欄2013年度版に再録)
1.
1月13日着、橋本努著『学問の技法』(2013年1月10日、ちくま新書刊、232ps.)
2.
1月18日着、韓国法史学会編『法史学研究』第46号 (2012年10月、韓国法史学会刊、687ps.)
3.
1月23日着、黒田由彦著『ローカリティの社会学――ネットワーク・集団・組織と行政』(2013年2月1日、ハーべスト社刊、334 ps.)
4.
2月6日着、ヴォルフガング・シュヴェントカー著、野口雅弘、鈴木直、細井保、木村裕之訳『マックス・ヴェーバーの日本――受容史の研究1905-1995』(2013年1月18日、みすず書房刊、371+65 ps.)
5.
3月3日、ある企画・編集会議で来宅の折、清水靖久著「戦後民主主義の原点としての人民主権」(増子信一聞き手・構成「未発表インタビュー・1989年の丸山眞男」へのあとがき、『すばる』第35巻第2号、2013年2月、pp. 164-69)
6.
3月3日、同上5. 三宅弘著「日本・韓国・中国の情報公開法制定過程にみる東アジア共通法基盤整備の可能性――ヴェーバー法理論をふまえて」(『獨協ロー・ジャーナル』第7号、2012年4月30日発行、pp. 101-45)
7.
3月12日着、野崎敏郎著「カール・ラートゲン『日本人の世界観』」(『仏教大学・社会学部論集』第56号、2013年3月、pp. 115-309)
8.
3月16日、「ヴェーバー研究会21」第5回 (於・東洋大学白山校舎) にて、九鬼一人著「リッカートの超越的当為――転移するロゴス(1)」(『岡山商大論叢』第48巻第3号、2013年2月、pp. 1-34)
9.
3月16日、同上8. 西角純志著「ジェルジ・ルカーチ『歴史と階級意識』「ローザ・ルクセンブルク三部作」評注―― «自然発生性と意識性» の展開=移動」(専修大学社会科学研究所『社会科学年報』第47号、2013年3月10日発行、pp. 133-56)
10. 3月19日着、高橋伸夫著『殻――脱じり貧の経営』(2013年3月30日、ミネルヴァ書房刊、252 ps.)
11. 3月25日着、田嶋信雄著『ナチス・ドイツと中国国民政府 1933~1937』(2013年3月19日、東大出版会刊、367+21 ps.)
12. 4月4日着、松井克浩著「『場所』をめぐる感情とつながり――災害による喪失と再生を手がかりとし」(栗原隆篇『感情と表象の生まれるところ』2013年3月29日、ナカニシヤ出版刊、pp.
143-58)
13. 4月5日着、三戸公著「情報の概念・再論――N. ウイナーと吉田民人を越えて」(立教大学経済学研究会『立教経済学研究』第66巻第4号、2013年3月21日、pp. 105-27)
14. 4月8日着、田嶋信雄著「孫文の『中独ソ三国連合』構想と日本 1917-1924――『連ソ』路線および『大アジア主義』再考」(服部龍二、土田哲夫、後藤春美編『戦間期の東アジア国際政治』2007年6月28日、中央大学出版部刊、pp. 3-52)
15. 4月16日着、田島毓堂著「私の仏教――心自閑、鳶居させじ、修証義の言語学1」、「ニュースに一喝 !――今度の選挙、廃炉作業、なぜ?なぜ?[コネティカット州の銃乱射事件]、アベノミス、中国外務省報道官、橋下劇場、アルジェエア人質事件」、「言魔――古本、大鵬、この頃の言葉、傾聴、言葉遣いあれこれ」「私から見た禅」「比較語彙論とは何か」「用語――語彙的と語彙」
16.4月18日着、水田洋氏より、中井えり子著『水田文庫概要』(2013年3月20日、名古屋大学付属図書館・付属図書館研究開発室刊、83ps.)
17. 4月22日着、舩橋晴俊氏より、同氏著「高レベル放射性廃棄物という難問への応答」(『世界』、2013年2月号、pp. 33-40)、「住民主体の復興と再生可能エネルギー」(一般社団法人・えこえね南相馬 発会記念フォーラム「再生可能エネルギーで復興推進」における講演、チラシ)、舩橋晴俊・金山行孝・茅野恒秀編『「むつ小川原開発・核燃料サイクル施設問題」研究資料集』(東進堂、2013年3月、新刊案内)、「原子力市民委員会 設立趣意書」(2013年4月15日)、舩橋晴俊「法政大学サステイナビリティ研究教育機構の閉鎖にあたってのご挨拶」、同「サス研の到達点と今後の展望」他 (『法政大学サステイナビリティ研究教育機構 Newsletter』第4号、2013年2月19日刊)、オリハ・V・ホリッシナ著、西谷内博美+吉川成美訳『チェルノブイリの長い影――現場のデータが語るチェルノブイリ原発事故の健康影響』(2013年3月31日、新泉社刊、124ps.)
18. 4月23日着、宇都宮京子著「マックス・ヴェーバーにおける『客観的可能性』をめぐる諸考察」(『東洋大学社会学部紀要』第50巻第2号、2013年3月刊、pp. 57-70)
19. 4月30日着、デュルケーム/デュルケーム学派研究会編『ニューズレター』第13号 (2012年12月25日発行、10ps.)
20. 5月4日着、大河原礼三著『モーセからヨハネ福音書へ――体制の外に立つ思想』(2013年5月15日、星雲社刊、166ps.)
[大河原礼三様。拝復。このたびは、ご労作『モーセからヨハネ福音書へ――体制の外に立つ思想』をご恵送たまわり、まことにありがとうございました。
今回、前著『ヨハネ福音書の特質――旧約から新約へ』ともども、拝読し、たいへん感銘を受けました。
大河原さんが、敗戦の廃墟・焼け野原から立って、無教会クリスト者のなかでも藤田若雄先生の門を叩かれ、1968~69年学園闘争を闘われたうえ、ご自身のルーツを辿り、シナイ契約からエリヤ、アモス、ホセア、イザヤ、エレミア、エゼキエル、エッセネ派をへて、ヨハネ福音書のイエスに連なる系譜を、見ごとに浮き彫りにされ、後期内村、後期矢内原にも連なるキリスト教正統主義の問題性を剔抉して、批判の俎上にのせられた事績には、まったく圧倒され、感嘆のほかはありません。
最近、1935年生まれの私の世代は、戦争責任を問えず、高度成長に抗えず、原発事故に直面して、三度目の廃墟に立たされた、まったく功績のない世代だったと、つくづく思います。しかし、そういう時代状況でも、ちょっと先輩ではありますが、大河原さんのように、真摯な闘いと思想的探究を貫かれた方が、ひとりでもおられたことは、せめてもの救いです。後に来る世代が、われわれをどう裁くか、分かりませんが、少なくとも敗戦後の生き方にかんする総括はして、そのためのデータは遺しておかなければならない、と思っております。
思想がほうとうに「体制の外に」立てるのか、それで「体制」をどう変えられるのか、なお確信が持てず、大筋が見えず、細部に拘っている小生ではありますが、ご労作から受けた感銘の一端はお伝えして、御礼に代えさせていただきます。敬具。2013年5月24日 折原 浩]
21. 5月8日着、Takemitsu Morikawa,
Kanonisierung und Gadächtnis: Der Schriftsteller Mori
Ôgai im kulturellen Gedächtnis des modernen Japan,
in: Lehmann, René・Öchsner, Florian・Sebald, Gerd (Hrsg.), Formen und Funktionen sozialen Erinnerns, Sozial- und
kulturwissenschaftlichen Analysen, 2013, Springer VS, S. 213-17.
22.
5月11日着、白鳥義彦著「フランスにおけるバカロレア試験――近年における動向とともに」(神戸大学社会学研究室編『社会学雑誌』第30号、2013年、pp. 61-77)、クリスチャン・ガラン、白鳥義彦訳「学校は実社会に貢献すべきなのか?――日本の教育制度にかんする考察」(同上、pp. 221-38)
23.
5月13日着、平野健一郎・古田和子・土田哲夫・川村陶子編『国際文化関係史研究』(2013年4月24日、東京大学出版会刊、554ps.)
24.
5月25日着、Takemitsu Morikawa, Japanität aus dem Geist der europäischen Romantik: Der
interkulturelle Vermittler Mori Ôgai und die
Reorganisierung des japanischen ›Selbstbildes‹ in der Weltgesellschaft um 1900,
2013, transkript Verlag, Bielefeld, 316 Seiten.
25.
5月30日着、ダニエル・ベンサイト、渡辺實編訳『未知なるものの創造――マルクスの政論』(2013年6月5日、同時代社刊、184ps.)
26.
6月8日着、南塚吾・古田元夫・加納格・奥村哲著『人びとの社会主義』(2013年6月10日、有志舎刊、375ps.)
27.
6月12日着、近藤和彦著「新任教員からのメッセージ」(『立正大学文学部論叢』第136号、2013年3月、pp. 161-63)、同「木村靖二さんを送る」(『立正史学』第113号、2013年3月、pp. 11-12)、同「礫岩政体と普遍君主: 覚書」(『立正史学』第113号、2013年3月、 pp. 25-41)、同「70年代的現象としての社会運動史研究会」 (喜安朗・北原敦・岡本充弘・谷川稔編『歴史として、記憶として――「社会運動史」1970~1985』2013年5月20日、御茶の水書房刊、pp. 176-81)
28.
6月24日着、稲上毅著『ヴェブレンとその時代――いかに生き、いかに思索したか』(2013年6月28日、新曜社刊、701ps.)
29.
8月6日着、舩橋晴俊氏より、原子力市民委員会の紹介(チラシ)、原子力市民委員会の緊急提言「原発再稼働を3年間凍結し、原子力災害を二度と起こさない体系的政策を構築せよ」(2013年6月19日)、日本学術会議・社会学委員会・東日本大震災の被害構造と日本社会の再建の未知を探る分科会「原発災害からの回復と復興のために必要な課題と取り組みの態勢についての提言」(2013年6月27日)
30.
8月8日着、リュック・ボルタンスキー/エヴ・シャペロ、三浦直希・海老塚明・川野英二・白鳥義彦・須田文明・立見淳哉訳『資本主義の新たな精神』上 (2013年8月19日、ナカニシヤ出版刊、431+22 ps.)、同下 (2013年9月20日、同出版刊、378+51 ps.)
31.
8月10日着、山本義隆著「原子・原子核・原子力」(駿大教育研究所編『駿大教育フォーラム』第29号、2013年7月10日刊、pp. 1-44)
32.
8月26日着、東島誠・与那覇潤著『日本の起源』(2013年9月20日、太田出版刊、360+16 ps.)
33.
8月29日着、八木紀一郎著「社会契約から承認の理論へ: 断片的試論」(京都大学経済学会『経済論叢』第186巻第3号、2013年4月、pp. 1-14)、同「マックス・ウェーバーと心理学・精神物理学――経済思想史の立場から」(川越敏司編『経済学にとって脳と心は必要か?』、2013年6月30日、河出書房新社刊、pp. 157-829)、同「はしがき」「震災・原発問題と日本の社会科学――政治経済学の視点から」(後藤康夫・森岡孝二・八木紀一郎編『いま福島で考える――震災・原発問題と社会科学の責任』、2012年10月15日、桜井書店刊、pp. 3-5,
87-105)
34.
9月1日着、松井克浩著「新潟県における広域避難者の現状と支援」(『社会学年報』第42号、2013年7月、pp. 61-71)
35.
9月11日着、田尾陽一著「地域あんしんシステムとソーシャルビジネス――多摩ニュータウンの事例から」(稲葉陽二・藤原桂典編『ソーシャル・キャピタルで解く社会的孤立――重層的予防策とソーシャルビジネスへの展望』、2013年1月30日、ミネルヴァ書房刊、pp. 263-85)
36.
10月13日、「ヴェーバー研究会21」の臨時特例会にて、田上大輔著「M・ヴェーバーの近代西欧批判再考――機械的化石化と神々の闘争の対照性に着目して」(『年報社会学論集』第26号、2013年、pp. 123-34)
37.
10月29日着、小林一美著『中共革命根拠地ドキュメント――1930年代、コミンテルン、毛沢東、赤色テロリズム、党内大粛清』(2013年10月20日、御茶の水書房刊、641+12 ps.)
38.
11月2日着、山崎仁朗・宗野隆俊編著『地域自治の最前線――新潟県上越しの挑戦』(2013年11月25日、ナカニシヤ出版刊、237ps.)、クラウス・ムリュネック、山崎仁朗訳「ナチ時代におけるハノーファー 市の市民団体の強制的同一化」(原文は『ハノーファー歴史雑誌』第34巻、1980年、所収、邦訳は、『岐阜大学地域科学部研究報告』第33号、2013年9月、pp. 65-102)
39.
11月29日着、三宅弘著「3・11福島第一原発事故にかかわる裁判所・法学者の果たした役割と改革の方向性――原子力情報の公開を求めて」(『獨協ロー・ジャーナル』第8号、2013年6月30日刊、pp. 101-55)、同 (講演録) 『弁護士としての来し方と これから福井でしたいこと――原田湛玄老師と折原浩教授からの“学び”をふまえて』(2013年10月31日、シングルカット刊、133ps.)、同「三宅茂子記念NPO福井教育アーカイブズにご賛同をお願いします」(2013年10月31日)
40.
11月29日着、盛山和夫著『社会学の方法的立場――客観性とは何か』(2013年11月18日、東京大学出版会刊、331+17 ps.)
41.
12月6日着、舩橋晴俊氏より、原子力市民委員会の紹介および設立趣意書(チラシ)、法政大学社会学部創設60周年記念・国際シンポジウム「エネルギー政策の転換と公共圏の創造――ドイツの経験に学ぶ」(2013年12月8日、法制大学多摩キャンパス百周年記念館にて開催)、原子力市民委員会『原発ゼロ社会への道――新しい公論形成のための中間報告』(2013年10月)、舩橋晴俊著「震災問題対処のために必要な政策議題設定と日本社会における制御能力の欠陥」(日本社会学会『社会学評論』第64巻第3号、2013年12月刊、掲載予定稿、23 ps.)、同「『生活環境』としての原発震災と地域再生のための『第三の道』」(『環境と公害』、2004年1月号、掲載予定稿、7 ps.)
42.
12月20日 (メール) 着、佐々木力著「ブータン探訪記」(『環境社会主義通信』第三号近刊、掲載予定稿)
43.
12月22日着、近藤和彦著『イギリス史10講』(2013年12月20日、岩波書店刊、306+4 ps.)