2008年度の仕事、年次報告20081228日)

 

今年から、一年間の仕事を振り返って摘記する年次報告は、年賀状への記載は止め、このHPに回すことにしました。

 

今年は、三つの研究会に招かれ、それぞれへの報告を元に、いくつかの論稿をまとめました。

(1)  そのうちのひとつは、316日に東京外国語大学で開かれた、「研究会21」主催の報告討論集会です。マックス・ヴェーバー研究の最新動向を取り上げ、有志が集まって批評し合おうという趣旨の会でした。これには、主催者(中野敏男氏、宇都宮京子氏、荒川敏彦氏ら)から、松井克浩氏の労作『ヴェーバー社会理論のダイナミクス――「諒解」概念による「経済と社会」の再検討』(2007年、未來社刊)を取り上げ、わたくしとしての態度決定を表明してほしい、という要請を受け、(本HPにも掲載したレジュメと別紙資料1~3を用意して)報告しました。その過程で、論考の一部分をまとめ、「ヴェーバー研究の『新しい風』に寄せて」と題し、雑誌『未来』の第498499号(2008年3月/4月)に発表しました(その後、許可をえて、本HPに転載)。つぎに、

(2)  524日に青山学院大学で開かれた、日本フランス語・フランス文学会、春季大会の一ワークショップ「翻訳の社会学」に、畏友加藤晴久氏の要請を受けて参加し、「誤訳をどう改めていくか―― 一社会学者の経験から」と題して報告しました。これについても、当日の報告資料と、日本フランス語・フランス文学会の機関誌『Cahier(20089月号) に掲載されたレジュメが、許可をえて、本H Pに転載されています。いまひとつ、

(3)  67日に、奈良女子大で開催された、奈良女子大21世紀COE主催のシンポジウム「マックス・ヴェーバーにおける歴史学と社会学」に、報告者のひとりとして招かれ、雀部幸隆氏、松井克浩氏の参加もえて、水林彪氏、小路田泰直氏ら、歴史学関係者と討論する機会をえました。これにも、レジュメと別紙資料1~7を用意して報告しましたが、その内容はその後、小路田泰直編、水林彪、折原浩他著『比較歴史社会学へのいざない』(2009年春、勁草書房より刊行予定)に収録されることになり、現在編集が進行中です。わたくしは、当日の報告を元に、「比較歴史社会学――マックス・ヴェーバーにおける方法定礎と理論展開」の章を担当、執筆し、911日に初稿、同18日に改訂稿を脱稿しました(400字詰め原稿用紙に換算して約220枚)。このHPには、当日のレジュメと、918日改訂稿の内容目次とを、掲載します。そのあと、

(4)  この研究会、とくに水林彪氏のお仕事によって触発された、支配の「正当性」、とりわけ「血統カリスマ的支配」における地位継承、親政-不親政問題への関心を胸中に、9月末、ロシアに旅立ち、10月初旬に帰国後、現地で撮った映像を、ナレーションとBGMを交え、ビデオ「ロシアの旅から――比較文化史への思い」に編集しました。ナレーションは、(ひとまず前篇だけですが)本HPに収録してあります。

 

以上、今年は、歴史学関係者はじめ、多くの知友との交流の機会に恵まれ、関心と視野を広げることができたと思います。ありがとうございました。来年も、この延長線上で、なにか新しい展開にのぞめるかもしれない、という予感がします。(20081228日記)